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医師の働き方改革と宿日直許可についての紹介記事です。今回はその全体像編です。

労働

働き方改革の一つとして、時間外労働規制の上限規制について、今まで適用猶予とされてきた医師の分野でも、2024年4月からいよいよ上限規制が始まります。今回から、2~3回にわたって「医師の働き方改革と宿日直許可」について投稿することにします。今回はその全体像編です。

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2024年問題とは何か?

働き方改革の中心は、年次有給休暇の時期指定(2019年4月から)、時間外労働の上限制限(2019年4月から、ただし中小企業は、2020年4月から)、同一労働同一賃金(2020年4月から、ただし中小企業等は2021年4月から)の3つです。

このうち、上記3つのうち、今回取り上げるのは、時間外労働の上限制限です。なお、建設事業、自動車の運転業務、医師、鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業は、2024年3月31日までこの時間外労働の上限制限の適用が猶予されています。

また、新技術・新商品等の研究開発業務は、時間外労働の上限制限の適用が除外されていますが、2024年4月1日からは、適用猶予事業について適用されるので、これを「2024年問題」と呼ぶ。詳しくは、以下の厚生労働省の公式サイトなどを参照してください。

  • 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説・2019年4月施行(中小企業への適用は2020年4月)

https://hatarakikatakaikaku.mhlw.go.jp

https://www.mhlw.go.jp/content/000463185.pdf

つまり、2024年問題とは、建設事業、自動車の運転業務、医師、砂糖製造業については、2024年3月31日まで時間外労働の上限制限の適用が猶予されていますが、この適用猶予が2024年4月1日から外れるので、今後どう対応するかということに他なりません。

医師の場合の時間外労働上限制限

上記で見た通り、医師についても2024年3月31日まで時間外労働の上限制限の適用が猶予されているのですが、2024年4月1日からは、どうなるかについては、省令で定めることになっていたところであり、下記の通り省令が出ています。

  • <基発 0119第9号、 2022年(令 和 4 年) 1 月 19 日>

https://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/pdf/outline/pdf/20220120_1.pdf

  • <基発 1226第7号 、2022年(令和4年)12月26日>

https://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/pdf/outline/pdf/20221227_01.pdf

ただ、上記の文章を読んでも結構わかりにくい点があるので、医師の時間外労働規制について、何か良い資料はないかと探していたところ、2020年(令和2年) 12月 14 日の「医師の働き方改革の推進に関する検討会」参考資料に中に、次の図を見つけたました。

医師の時間外労働規制について.pdf

なお、上記の図が出ている資料は、次のとおりであるので、詳細を知りたい場合は、下記のサイトで確認していただきたい。

  • 2020年(令和2年) 12 月 14 日_第11回医師の働き方改革の推進に関する検討会資料(参考資料)より
第11回医師の働き方改革の推進に関する検討会 資料

https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000720677.pdf

医師の時間外労働規制は、2024年4月から「診療従事勤務医に適用される水準」(A水準、年960時間未満)、「地域医療確保暫定特例水準(連携B、B水準、年1860時間未満)、集中的技能向上水準(C-1、C-2水準年、1860時間未満)に分類することができます。

A水準の年960時間という数字は、月換算で80時間、BまたはC水準の1860時間という数字は、月換算で155時間となる。なんともすごい残業時間なのだが、私が関係した病院の残業時間も月あたり100時間を超えていたので、多くの病院がこんな状況だと思われます。

なお、「B水準」及び「C水準」に個々の医療機関が該当するか否かについては、医療機関における医師の長時間労働の実態及び労働時間短縮の取組状況について、医療機関勤務環境評価センターが評価を実施し、その結果を踏まえて都道府県が指 定することとされているようです。

  • 「医療機関の医師の労働時間短縮の取組の評価に関するガイドライン」についての詳細は、下記を参照されたい。

https://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/pdf/information/2021/20220523_02.pdf

従って、この「B水準」及び「C水準」になると評価の実施や都道府県の指定を受ける必要があることなど結構大変だということで、2024年4月から多くの病院が、A水準(年960時間、月当たり80時間という水準)が達成できないかを模索しているのです。

病院は、当直(宿日直)の義務がある

私は、医師の場合、時間外が多い一つの原因としては、医師の特殊性というか、社会的責務というか、入院患者等の急変対応のために当直が義務付けられていることもあり、また医師不足も重なって医師の時間外増に拍車をかけているのではないかと考えています。

そこで、労働基準法上、医師の時間外労働をA水準にするための一つの方策として、「宿日直許可」という方法がありますが、この許可を受けると労働時間規制が適用除外となり、宿日直の時間帯が労働時間としてカウントされないため、A水準が達成可能となるのです。

この「宿日直許可」の詳細については、次回に投稿する予定です。

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