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医師の働き方改革と宿日直許可についての紹介記事です。今回は「宿日直許可」編です。

労働

医師の時間外労働をA水準(月80時間、年間960時間以内)にするための一つの方策として、「宿日直許可」をとる方法があります。今回は、この宿日直許可についての解説記事です。

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宿日直許可をとる必要性、その背景

医師の時間外労働をA水準(月80時間、年間960時間以内)にするための一つの方策として、「宿日直許可」をとる方法がありますが、宿日直許可をとる必要性というか、その背景事情等については、前回「全体像編」で述べました。詳しくは、下記の記事を見てください。

宿日直許可の法的効果等について

労働基準法第41条第1項第3号で「監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの」、つまり、監督署の許可を受けたものについては、「労働時間、休憩及び休日に関する規定」が適用除外となるとあります。

「労働時間、休憩及び休日に関する規定」が適用除外になるということは、実際問題として、具体的にどのようなことになるのかについて、社労士間での勉強会や監督官とのやりとりなどをまとめてみました。なお、以下の意見はあくまでも私の個人的な責任で見解であることをお断りしておきます。

宿日直の許可を受けた場合の「労働時間、休憩及び休日に関して適用除外となる内容は、以下のとおりです。

  • 宿日直として勤務した時間は、全ての時間に対して、労働時間としてカウントされません。
  • 8時間を超える勤務の場合は、法律上1時間の休憩時間が義務付けられていますが、これも適用されません。
  • 勤務あけの場合、たとえば、その日の勤務がなかったとしたら、その日は休日としてカウントしても差し支えない。
  • 日曜日に日直を行った場合、たとえば、その週に休日がなかったとしても、毎週1回、4週4日の休日規定の原則には、違反しない。
  • 何らかの事情で、附款により定められた宿日直回数を超えた場合は、その超えた回数分についての時間外手当等の支払が必要。
  • 宿日直中に発生する「通常の勤務時間と同態様の業務」が発生した場合も、その時間については、時間外手当等の支払が必要。

宿日直許可の要件について

「医療機関における宿日直許可について」の厚生労働省のサイトは以下のとおりです。このサイトでは「宿日直許可」の要件はもとより、申請書や許可事例等も出ていますので、参考にしてみてください。

https://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/pdf/outline/pdf/20210720_02.pdf

上記サイトによれば、断続的な宿日直の許可基準(「一般的許可基準」)のほかに「医師の場合のより具体的な判断基準」もありますので、重要なところを抜き出してみました。

断続的な宿日直の許可基準(S22発基17号より)

勤務の態様

常態として、ほとんど労働をする必要のない勤務のみを認めるものであり、定時的巡視、緊急の文書又は電話の収受、非常事態に備えての待機等を目的とするものに限って許可するものであること。

 原則として、通常の労働の継続は許可しないこと。したがって始業又は終業時刻に密着した時間帯に、顧客からの電話の収受又は盗難・火災防止を行うものについては、許可しないものであること。

宿日直手当

宿直勤務1回についての宿直手当又は日直勤務1回についての日直手当の最低額は、当該事業場において宿直又は日直の勤務に就くことの予定されている同種の労働者に対して支払われている賃金の一人1日平均額の1/3以上であること。

宿日直の回数

 許可の対象となる宿直又は日直の勤務回数については、宿直勤務については週1回、日直勤務については月1回を限度とすること。ただし、当該事業場に勤務する18歳以上の者で法律上宿直又は日直を行いうるすべてのものに宿直又は日直をさせてもなお不足であ り、かつ勤務の労働密度が薄い場合には、宿直又は日直業務の実態に応じて週1回を超える宿直、月1回を超える日直についても許 可して差し支えないこと。

その他

宿直勤務については、相当の睡眠設備の設置を条件とするものであること。

医師の場合のより具体的な判断基準

  • 通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のものであること。 (通常の勤務時間が終了していたとしても、通常の勤務態様が継続している間は宿日直の許可の対象にならない。)
  • 宿日直中に従事する業務は、前述の一般の宿直業務以外には、特殊の措置を必要としない軽度の又は短時間の業務に限ること。 例えば以下の業務等をいう。

一、医師が、少数の要注意患者の状態の変動に対応するため、問診等による診察等(軽度の処置を含む。以下同じ。)や、看護師等に対する指示、確認を行うこと

二、医師が、外来患者の来院が通常予定されない休日・夜間(例えば非輪番日など)において、少数の軽症の外来患者や、かかりつけ患者の状態の変動 に対応するため、問診等による診察等や、看護師等に対する指示、確認を行うこと

  • 宿直の場合は、夜間に十分睡眠がとり得ること。
  • 上記以外に、一般の宿日直許可の際の条件を満たしていること。

私なりの判断基準をまとめる

なお、ざっくりですが、上記の一般的基準と医師の具体的基準を整理して、私なりに判断基準をまとめると次のようになるかと思われます。

  • 常態としてほとんど労働することがないこと
  • 通常の労働の継続ではないこと
  • 宿日直手当額が同種の業務に従事する労働者の1人1日平均額の3分の1以上であること
  • 宿日直の回数が、原則として宿直は週1回、日直は月1回以内であること
  • 宿直については、夜間に十分睡眠がとり得る睡眠設備を設置していること

添付書類等について

宿日直の許可申請は、許可申請書以外に「勤務実態報告書」などの添付書類を求められますが、この添付書類にはどんなものがあるかは、各監督署や地域によって多少の違いがあるようです。

そこで、ネットで調べてみたところ「愛知県医療勤務環境改善センター」に私が関係した許可申請の添付資料とほぼ同じものが出ていました。下記サイトを参考にして申請書を作成してみると良いと思います。

(厚生労働省〜いきサポ)

https://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/

(愛知県医療勤務環境改善センター)

厚生労働省作成 医療機関の宿日直許可申請に関する資料(参考事例)及び相談窓口等に寄せられたFAQについて | 愛知県医療勤務環境改善支援センター

次回は、私が実際に、関係した2次救急病院の許可事例について紹介したいと考えています。

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